「今年こそちゃんとやろう」と決めた家計管理。でも、何を決めればいいのか分からない。食費を削るべきか、貯金を増やすべきか、投資を始めるべきか。正しい判断がしたいのに、何が正しいのか誰も教えてくれない。
この苦しさは、あなたの判断力が足りないからではありません。そもそも私たちは、「判断の仕方」を学んでいないのです。
学校では計算を習い、文章の書き方を習い、歴史を習います。でも「判断の仕方」は習いません。だから大人になって、人生の重要な場面で判断を迫られたとき、私たちは途方に暮れるのです。判断とは、感覚でするものではなく、学べるものなのです。
判断を学ぶとは何か
多くの人は、判断を「正解を選ぶこと」だと思っています。だから、正解が分からないと判断できない。正解を間違えると失敗だと思う。でも、判断は正解を選ぶことではありません。
判断とは、「不確実な状況の中で、自分なりの線を引き、その線を他者に説明できる形にするプロセス」です。正解は誰も知りません。あなたも知らないし、専門家も知らないし、本にも書いていません。
だから判断を学ぶとは、正解の見つけ方を学ぶことではなく、「不確実さとどう向き合い、どう線を引き、どう更新していくか」を学ぶことです。そしてその学びには、3つの段階があります。
観察を学ぶこと。境界を学ぶこと。委任を学ぶこと。この3つを順番に学べば、判断は「怖いもの」から「使えるもの」に変わります。
観察を学ぶ——不確実さを受け入れる
判断を学ぶ最初の段階は、観察です。ここでは、「今、何が起きているのか」を、判断を交えずに見る技術を学びます。
たとえば家計管理なら、「先月の支出が30万円だった」という事実を、「30万円も使ってしまった」と解釈せずに見ることです。「貯金が増えていない」という状態を、「自分はダメだ」という評価に変えずに見ることです。
なぜこれが難しいかというと、私たちは見た瞬間に判断してしまうからです。事実と評価が、頭の中で一瞬で混ざります。そして評価が先に来ると、事実が歪みます。
観察を学ぶとは、この「事実と評価の分離」を練習することです。「今、自分はどの状態にいるのか」を、良いとか悪いとか抜きに、ただ名前をつける。「綱渡り状態」なのか、「霧の中状態」なのか。名前がつけば、不確実さが少しだけ、扱えるものになります。
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境界を学ぶ——自分の線を引く
観察ができるようになったら、次は境界を学びます。ここでは、「自分の場合、どこまでがOKで、どこからがNGなのか」という線を引く技術を学びます。
たとえば、「食費は月5万円まで」という線を引くとき。この5万円は、どこから来たのか。雑誌に書いてあったからか。誰かに言われたからか。それとも、自分の状態と価値観から導いた数字なのか。
境界を学ぶとは、「他人の線」と「自分の線」を区別することです。他人の線は、どんなに正しくても、守れません。自分で納得して引いた線だけが、守れる線になります。
そしてもうひとつ重要なのは、「線は動く」ということです。状態が変われば、線も変わります。だから境界を学ぶとは、線を引くことだけでなく、「どういうときに線を動かすのか」を学ぶことでもあります。固定した線は、いつか壊れます。柔軟な線だけが、長く機能します。
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委任を学ぶ——判断を構造にする
観察ができて、境界が引けたら、最後は委任を学びます。ここでは、あなたの判断を「他人でも再現できる形」にする技術を学びます。
配偶者に予算を説明するとき。子どもにおこづかいの理由を伝えるとき。3ヶ月後の自分に判断の根拠を残すとき。すべて、委任の技術が必要です。
委任を学ぶとは、感情やニュアンスを、ロジックと手順に翻訳することです。「なんとなくこう思う」を、「こういう理由で、こういう手順で、こういう結論になる」に変えることです。
この翻訳ができると、判断は「あなたの頭の中」から「家族で共有できる構造」に変わります。そしてその瞬間、判断の重さは分散されます。もう、あなたひとりで背負う必要はありません。
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判断は技術である
判断は、才能ではありません。感覚でもありません。学べる技術です。そして技術である以上、練習すれば上達します。
観察を学べば、事実が見えるようになります。境界を学べば、自分の線が引けるようになります。委任を学べば、判断を構造にできるようになります。この3つを順番に学ぶことで、判断は「怖くて避けたいもの」から「使いこなせる道具」に変わります。
重要なのは、この3つを同時に学ぼうとしないことです。まず観察だけを学ぶ。次に境界だけを学ぶ。最後に委任だけを学ぶ。この順番を守ることで、判断という技術は、確実に身についていきます。
家計管理だけでなく、投資でも、経営でも、人生のあらゆる場面で、この3つの段階は存在します。そしてどんなに複雑な判断も、必ずこの3つに分解できます。分解できれば、学べます。学べれば、使えます。
判断学を実践する
では、判断学を具体的にどう学ぶのか。それは、あなたが今どの領域で判断に苦しんでいるかによって変わります。
もし家計や家族のお金で判断に迷っているなら、household.takebyc.jpへ。
もし投資や資産運用で判断に恐怖を感じているなら、invest.takebyc.jpへ。
もし組織の経営や資源配分で判断の重圧に耐えているなら、cfo.takebyc.jpへ。
それぞれの領域で、観察を学び、境界を学び、委任を学ぶことができます。そしてどの領域でも、最初に学ぶべきことは同じです。まず、観察を学ぶことです。境界も委任も、その後です。
判断は、恐れるものではありません。