ネットやSNSでは、「保険はムダ」「貯金があれば十分」といった保険不要論が拡散されています。耳障りはいいものの、その論拠に従って保険を解約することに、本当に不安はありませんか？「自分は解約しても大丈夫なのか？」という迷いこそ、最も危険な家計破綻リスクのサインかもしれません。
簿記専門学校から会計事務所、IPOを経て上場企業でCFO（最高財務責任者）を務めてきた私から断言します。あなたの家計を企業会計に置き換えて数字で整理すれば、保険の要・不要の答えは明確に出ます。数字のプロとして、オブラートに包まず、その真実をお伝えしましょう。
保険を企業会計で読み解く──それは「費用」か「投資」か？
まず、保険料の正体を知ることです。企業会計において、保険料は「販売費及び一般管理費」、つまり**コスト（費用）**として処理されます。保険は「利益を生む投資」ではありません。
では、コストを払って得られるリターンは何でしょうか？それはお金が増える「利益」ではなく、**「損失回避」**です。
企業経営の最優先事項は、利益を増やすことより、まず**「倒産回避」です。どんなに利益が出ていても、一度倒産すればすべてを失うからです。家計も全く同じ。私たちの最大の目的は、「破産回避」**であるべきです。
CFOのノウハウで翻訳すると、保険は「利益を増やす道具」ではなく、「倒産リスクから会社（家計）を守る仕組み」として会計処理すべきものなのです。この視点を持つだけで、あなたの保険に対する認識はガラリと変わります。
「入らない方が得」になるケースと判断基準
では、「保険に入らない方が得」になるのはどのようなケースでしょうか？
その判断基準はシンプルです。それは**「自己資産でカバーできるか？」という問いに尽きます。家計の財務体力（資産）**を冷静に測るのです。
例えば、スマホの破損や、数十万円で済む小規模な入院医療費など。これらは**「損益計算書（P/L）の範囲」であり、家計の貯蓄、つまり「バランスシート（B/S）」**で賄える範囲です。自己資金で対処できるコストのために保険料を払い続けるのは、費用対効果が低いと言わざるを得ません。
CFOのノウハウで翻訳すると、これは「投資回収が不可能な案件は即撤退」と判断されます。支払い総額に対して、補償される確率や金額が割に合わない商品は、ただちに打ち切るべきです。単なる安心料のつもりが、実は家計の資金を静かに蝕むコストの垂れ流しになっていないか、冷静にチェックしてください。
「必ず入るべき」保険──CFO流・倒産回避の内部統制
企業が存続するために不可欠なのが「内部統制」です。その目的は、まさに会社の存続を守ること。家計の内部統制も、同様に「破産回避」に焦点を絞るべきです。
自己資産では絶対にカバーできない、**家計のB/Sを根底から破壊する「致命的リスク（低確率かつ影響大）」**には、迷わず厚く備える必要があります。具体的には以下の3つです。
- 大黒柱の死亡・高度障害：一家の収入がゼロになるリスク。
- 高額医療費：貯蓄を一気に使い果たし、生活再建を困難にするリスク。
- 火災・自然災害：最大資産である住まいを一瞬で失うリスク。
CFOのノウハウで翻訳すると、これらは**「会社を倒産から守る究極のリスクヘッジ」**であり、最も厚く備えるべき最低限のコストです。これらのリスクを保険でカバーせず「貯金で賄う」というのは、上場企業であれば「致命的なリスクヘッジの欠如」として監査法人から指摘されるレベルです。
保険判断を誤らせる心理的バイアス
私たちは、論理ではなく感情で動いてしまいがちです。これが保険の判断を誤らせる大きな原因となります。
一つ目はサンクコスト（埋没費用）の罠です。「今まで払った分がもったいないから解約できない」という考えは、経営判断で最も避けるべきものです。過去の費用は未来の意思決定に持ち込むべきではありません。CFOのノウハウで翻訳すれば、これは**「赤字事業を延命させる経営と同じ」**です。経営者としては最低の判断です。
二つ目は安心料の思考停止です。「入ってるだけで安心」と、コストに見合う具体的なリスク低減効果を数値で確認しないことです。
解決策はシンプルです。感情を排除し、「数値」と「破産リスクの影響度」の二軸で、淡々と判断を下すこと。これが企業経営で培われる、最も重要なロジカルシンキングです。
CFOが導く「選択と集中」の最適な保険戦略
結論として、保険に対する最適な戦略は「ゼロかフル」という極端な二択ではありません。企業の投資戦略と同じく、**「選択と集中」**が正解です。
行動原則は以下の通りです。
- ✅ 致命的リスク（破産リスク）には、企業経営のように厚く、迅速に備える。
- ❌ 自己資金でカバーできるリスクには、一切入らない。
この視点を持つことで、あなたの保険は、倒産から家計を守る強固な仕組みへと変わります。それとも、あなたの保険は今も、思考停止によるコストの垂れ流しになっていませんか？
家計の内部統制を始めよう
この記事を読んで、「自分の保険は本当に正しいのか？」と立ち止まって考えたあなたは、家計の経営者として素晴らしい一歩を踏み出しています。不安に駆られるまま行動するのではなく、数字と論理に基づいて疑問を持ったことを心から肯定します。
あなたが今、最も不安に思っている保険の項目は、「死亡保険」と「医療保険」、どちらですか？
ぜひ、コメント欄で教えてください。ファイナンシャルプランナーとして、私よしはるが一つひとつ、あなたの状況に寄り添って必ず返信します。一緒に家計の内部統制を始めましょう。
あなたが今日、この記事を読んで「これならすぐに試せる」と感じたのは、3つのステップ（24時間ルール、ご褒美の置き換え、支出の見える化）のうち、どれですか？
X（https://x.com/takebyc）、Threads（https://www.threads.com/@takebyc）でぜひ教えてください。あなたの具体的な「独り立ちへの最初の一歩」を拝見し、返信させていただきます。一緒に「お金に振り回されない人生」を築いていきましょう。