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判断が3ヶ月止まる人は、何を確認できていないのか

判断には3つの位置があります。Observeは観測の位置、Defineは基準を定める位置、Delegateは仕組みに任せる位置です。今日は、判断が止まったときに最初に戻るべきObserveの位置から、何を確認すべきかを整理します。

貯金すべきか、使うべきか。転職すべきか、今の場所で耐えるべきか。新しい挑戦を始めるべきか、今のやり方を続けるべきか。

判断が止まる場面は、人生のあらゆる局面で訪れます。そして、止まったまま時間だけが過ぎていく経験も、多くの人が持っているはずです。

CFOとして、またファイナンシャルプランナーとして、私は数百件の意思決定の現場に立ち会ってきました。その中で気づいたことがあります。判断が止まる人は、迷っているのではありません。判断の前提となる観測が、完了していないのです。

判断が止まる構造

判断が止まるとき、多くの人は「どちらを選ぶべきか」という問いに囚われています。でも、その問いに答えようとすること自体が、判断を遠ざけているのかもしれません。

なぜなら、選択肢の優劣を比較する前に、確認すべきことがあるからです。それは、自分が何を観測しているのか、という点です。

ある経営者の方が、こう話してくれました。新規事業に投資すべきか、既存事業の強化に資金を回すべきか、半年近く決められずにいると。話を聞いていくと、その方は投資額や予想リターンという数字は持っていました。でも、自分が何を恐れているのか、何を優先したいのか、その観測ができていませんでした。

判断OSの視点から見ると、これは典型的なObserve不足です。判断の材料は揃っているのに、判断の軸となる自己観測が欠けている状態です。

Observeの位置とは何か

判断OSにおけるObserveの位置は、判断の土台です。ここでやるべきことは、選択肢を比較することでも、答えを出すことでもありません。自分の状態を観測することです。

観測すべきは、以下の3つです。

自分の感情の境界線はどこにあるのか。リスクに対する耐性は、今どの程度あるのか。優先したい価値は、何なのか。

この観測が完了していないまま判断に進もうとすると、判断は止まります。なぜなら、判断の軸が定まっていないからです。

別の例を挙げます。ある方は、50万円の貯金ができたので車を買い替えたいと考えていました。でも、本当に使っていいのかわからず、3ヶ月間決められずにいました。

その方に、こう質問しました。50万円使った後、あなたの貯金残高はゼロになりますか、それとも別の貯金がありますか。答えは、別に100万円の貯金があるとのことでした。

次に、100万円を切ると、あなたはどんな気持ちになりますか。その方は、少し考えた後、100万円を切ると不安で眠れなくなると答えました。

ここで観測が完了しました。この方の感情の境界線は、100万円です。50万円使っても、100万円は残ります。つまり、感情の境界線を越えることはありません。この観測ができた瞬間、判断は動き始めました。

感情の損益分岐点を観測する

判断OSにおいて、最も重要な観測対象のひとつが、感情の損益分岐点です。これは、どこまでなら安心できるか、どこからが不安になるか、という境界線のことです。

この境界線は、人によってまったく異なります。ある人は貯金が50万円を切ると不安になり、別の人は20万円あれば大丈夫だと感じます。リスクを取ることに興奮する人もいれば、リスクそのものが耐えられない人もいます。

この境界線を観測せずに判断しようとすると、判断は必ず止まります。なぜなら、自分がどこに立っているのかわからないまま、次の一歩を踏み出そうとしているからです。

感情の損益分岐点を観測するには、過去の経験を振り返ることが有効です。お金を使ったとき、どんな気持ちになったか。リスクを取ったとき、どんな感情が湧いたか。その記録を丁寧に観測していくと、自分の境界線が見えてきます。

期待の不一致を観測する

判断が止まるもうひとつの理由は、期待の不一致です。これは、自分の中に複数の期待が混在していて、それらが衝突している状態を指します。

将来のために貯めたいという期待と、今を楽しみたいという期待。安定を求める期待と、挑戦したいという期待。自分のために使いたいという期待と、家族のために残したいという期待。

どれも正当な期待です。でも、どちらを優先すべきかが決まっていないと、判断は止まります。

さらに複雑なのは、パートナーや家族との期待の不一致です。自分の期待すら整理できていないのに、相手の期待も加わると、判断はさらに遠のきます。

期待の不一致を観測するには、それぞれの期待を言語化する必要があります。今、自分の中にどんな期待があるのか。それらは互いにどう衝突しているのか。その構造を観測することで、判断の前提が見えてきます。

判断の心理的安全性を観測する

判断が止まる第三の理由は、判断の心理的安全性が確保されていないことです。これは、判断をしても大丈夫だという安心感が、自分の中にない状態を指します。

この判断をして失敗したら、取り返しがつかないのではないか。間違えたら、誰かに責められるのではないか。後悔するのではないか。

そういった不安が強いと、判断は止まります。なぜなら、判断すること自体がリスクに見えるからです。

判断の心理的安全性を観測するには、以下の問いが有効です。

この判断をして失敗した場合、何が起きるか。その結果は、取り返しがつくか。やり直せるか。誰かに責められるか。それは本当か。

これらの問いに答えていくと、多くの場合、判断のリスクは自分が思っているほど大きくないことがわかります。そして、やり直しがきくこと、責める人は実際にはいないこと、そういった観測ができると、判断の心理的安全性が高まります。

観測が完了すると判断は動く

判断OSの設計において、Observeの位置は最も時間をかけるべき場所です。なぜなら、ここでの観測が不十分だと、次のDefineの位置で基準を定めることができないからです。

感情の損益分岐点が見えていない。期待の不一致が整理できていない。判断の心理的安全性が確保されていない。そんな状態でDefineに進んでも、基準は定まりません。

逆に、Observeでの観測が完了すると、判断は自然と動き始めます。なぜなら、判断の軸が見えるからです。

先ほどの車の例で言えば、感情の境界線が100万円だとわかった瞬間、50万円使っても大丈夫だという判断ができました。これは、Observeが完了したからです。

新規事業の例で言えば、その経営者は自分が恐れているのは失敗そのものではなく、既存の顧客を失うことだと観測できました。そうなると、判断の軸は既存顧客との関係性を守れるかどうかに移ります。この観測ができた時点で、判断は動き始めました。

観測は急がなくていい

判断が止まっているとき、多くの人は焦ります。早く決めなければ、機会を逃してしまう。でも、観測が完了していない状態で判断を急いでも、後悔が残ります。

観測には時間がかかります。自分の感情の境界線を確認するには、過去の経験を振り返る必要があります。期待の不一致を整理するには、それぞれの期待を丁寧に言語化する必要があります。判断の心理的安全性を確保するには、リスクを冷静に評価する必要があります。

この作業を省略して判断に進もうとすると、判断は止まります。なぜなら、判断の土台がないからです。

判断OSの設計において、Observeは最も基礎的な位置です。ここで時間をかけることが、結局は最短ルートになります。

やりくりの哲学としての観測

やりくりとは、限られたリソースをどう配分するかの技術です。でも、配分の前に、何が限られているのかを観測する必要があります。

お金が限られているのか。時間が限られているのか。気力が限られているのか。その観測ができていないと、配分の優先順位は定まりません。

判断も同じです。判断の前に、自分のリソースを観測する。感情の余裕はどの程度あるのか。リスク耐性はどの程度あるのか。優先すべき価値は何なのか。

その観測が完了して初めて、判断OSは機能します。

Observeからの次の位置

観測が完了したら、次はDefineの位置に進みます。ここでは、観測した情報をもとに、判断の基準を定めます。

でも、それは焦らなくていい。今は、観測に集中してください。自分の感情の境界線を確認する。期待の不一致を整理する。判断の心理的安全性を確保する。

その作業が、すべての土台になります。

判断は、急ぐものではありません。観測し、基準を定め、仕組みに任せる。その順番を守ることが、再現性のある判断を作ります。

観測が完了したとき、あなたは判断の軸を手に入れています。その軸があれば、判断は自然と動き始めます。

判断OSは、正解を出す装置ではありません。自分が安心して判断できる状態を作る、設計図です。

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