情報は十分にあるのに、なぜ決められないのか
スマートフォンを開けば、
家計、投資、キャリア、住まい、経営。
どんなテーマでも、情報は簡単に手に入ります。
それでも、
いざ「自分のこと」として決めようとすると、
なぜか手が止まってしまう。
これは、珍しいことではありません。
むしろ、多くの人が同じ場所で立ち止まっています。
ここで重要なのは、
原因は情報不足ではないという点です。
正しい答えは、すでにどこかにある。
それでも決められないのは、
その答えを「自分の場合」に当てはめることができないからです。
判断が止まるとき、頭の中で起きていること
判断が止まるとき、
頭の中では、次の3つが混ざり合っています。
- 数字・データ
- 正しさ・精度
- 自分の気持ち
本来、これらは
切り分けて考えるべき要素です。
しかし実際には、
- 数字を見ると不安になる
- 正しさを考えると気持ちが置き去りになる
- 気持ちを優先すると合理性が揺らぐ
といった形で、
同時に処理しようとして思考が渋滞します。
その結果、
「もう少し調べてから」
「今は決めなくていいか」
という状態に入り、判断が止まります。
従来の「専門家モデル」が抱える違和感
これまでの多くの専門家やコンサルティングは、
次のような前提に立っていました。
答えは専門家が知っている
それを教えることに価値がある
もちろん、
専門知識が必要な場面は多くあります。
しかし、このモデルには
一つの限界があります。
それは、
判断する力が、本人に残らないことです。
答えをもらった瞬間は楽になります。
けれど、次の判断が必要になったとき、
また誰かに聞かなければならない。
この状態が続くと、
判断は「外注」になっていきます。
判断を構造化するという発想
ここで登場するのが、
判断を構造化するという考え方です。
これは、
- 何を選ぶべきか
ではなく - どう考えれば判断できるか
を整理するアプローチです。
散らかった思考を整え、
- なぜここで迷っているのか
- どこで判断が止まっているのか
を自分で理解できる状態をつくる。
そのプロセス自体に、価値があります。
判断できる状態とは何か
この考え方が目指しているゴールは、
とてもシンプルです。
誰かに聞かなくても、判断できる状態
正解を当てることではありません。
誰かの意見に従うことでもありません。
自分なりに考え、
納得したうえで決められること。
それは、
自立や自信を取り戻す感覚に近いものです。
判断を「層」で考える:L設計
判断を構造化するために、
ここでは L設計(Layer設計) という考え方を使います。
判断のプロセスを、
役割の異なる「層」として整理します。
L1|気づきの層
- なんとなくモヤモヤする
- 違和感はあるが、言葉にできない
多くの人は、
自分が迷っていることにすら気づかないまま、
ここに留まっています。
L2|思考の層
- なぜ決められないのかを言葉にする
- 感情や背景を整理する
- 結論を出さない
この層が、最も重要です。
判断を急がず、
自分の状態を理解する。
すべては、ここから始まります。
L3|構造の層
- 判断の軸
- 判断の順番
- 再利用できる型
ここではじめて、
具体的な判断が可能になります。
なぜ L2 を飛ばしてはいけないのか
多くの人は、
L1から一気にL3へ進もうとします。
つまり、
- いきなり答えを探す
- いきなり行動しようとする
しかし、
L2が整理されていない状態では、
どんな正しい方法も重く感じられます。
だからこそ、
この判断学では L2を心臓部 と位置づけています。
あえて「何もしない」という選択
この考え方を守るために、
一つの明確な線引きがあります。
- すぐにアドバイスしない
- 行動を促さない
- 結論を急がない
ときには、
次のステップへの案内すら置きません。
それは、
考える機会を奪わないためです。
判断を前に進めない勇気
それ自体が、
読者への信頼の表れです。
この判断学が扱うもの・扱わないもの
扱うもの
- 判断が止まる構造
- 思考の整理
- 判断の前提
扱わないもの
- 個別の正解
- 即効性のある答え
- 代わりに決めること
まとめではなく、入口として
このページは、
判断学の「結論」ではありません。
むしろ、
判断を構造化するための入口です。
ここから先では、
- 家計
- 投資
- 夫婦
- 経営
といったテーマごとに、
判断の型を整理していきます。
もし今、
何かを決めきれずにいるなら。
それは能力の問題ではなく、
判断の層が混線しているだけかもしれません。
判断は、
正しさよりも先に
構造から整えることができます。
次のステップについて
※ このページでは、具体的な行動指示は行いません。
必要になったときに、
それぞれの判断テーマに応じたページを参照してください。
補足:判断を構造化するという考え方(動画)