なぜこの判断は迷いやすいのか
社長とCFOの役割分担は、
職務定義だけを読めば理解できそうですが、実務では必ずズレる判断と言えます。
- 「どこまで社長が口を出すべきか」
- 「CFOは止める役なのか、支える役なのか」
- 「数字とビジョン、どちらが優先されるのか」
こうした問いは、正解が分からないから迷うのではありません。
多くの場合、感情と期待が整理されないまま、役割の話に入ってしまうことが原因です。
この記事では、
社長とCFOの役割分担が崩れる“心理的な起点”を整理し、
判断を前に進めるための考え方の順番を明確にします。
よくある前提のズレ
「役割分担=仕事の線引き」だと思っている
実務で起きる混乱の多くは、
役割分担をタスク配分の話として扱ってしまうことから始まります。
しかし、社長とCFOの関係で問題になるのは、
- 誰が決めるか
- 誰が止めるか
- 誰が責任を引き受けるか
といった、意思決定時の立ち位置です。
仕事の一覧表を作っても、
判断の瞬間に心理的な役割が共有されていないと、必ず衝突します。
「数字に強い人がCFO」という思い込み
CFOに期待されがちなのは、
- 数字に厳しい
- 冷静
- ブレーキ役
というイメージです。
この前提が強すぎると、
CFO=社長の夢を止める存在という構図が生まれやすくなります。
結果として、
- 社長は「理解されていない」と感じ
- CFOは「聞いてもらえない」と感じる
という、感情的なすれ違いが起きます。
この判断で整理すべき3つの軸
軸①|意思決定における心理的役割
最初に整理すべきは、
社長とCFOが、判断の場でどんな役割を担うのかです。
- 社長:方向を選ぶ人
- CFO:選択肢を現実に引き戻す人
ここで重要なのは、
CFOが「反対する人」ではないという点です。
CFOの役割は、
「ダメです」と言うことではなく、
“その判断をした場合に何が起きるか”を言語化することです。
軸②|数字が担う心理的機能
数字は、単なる管理ツールではありません。
- 社長にとっての数字:不安を可視化するもの
- CFOにとっての数字:説明責任を果たすための言語
この認識がズレると、
- 社長は「数字で縛られている」と感じ
- CFOは「感覚で決められている」と感じます。
数字は支配の道具ではなく、共通言語だという整理が不可欠です。
軸③|信頼関係と感情の扱い方
社長とCFOの関係性は、
上下関係ではなく、役割の非対称性を含んだパートナー関係です。
- 社長は孤独になりやすい
- CFOは板挟みになりやすい
この前提を共有しないままでは、
役割分担の議論は感情の摩擦に変わります。
判断の順番
1. まず確認すること
「役割」を仕事ではなく、判断時の立ち位置として定義しているか
タスク表ではなく、
意思決定の瞬間に誰が何を引き受けるのかを言語化します。
2. 次に考えること
数字をどう使うかが、感情の扱い方と一致しているか
数字で安心したいのか、
数字で説明したいのか。
その目的が共有されているかを確認します。
3. 最後に判断すること
お互いが「敵」ではなく「補完関係」だと認識できているか
ここで違和感が残る場合、
役割分担を決め切る必要はありません。
一度止まる判断も、十分に合理的です。
この考え方が使える場面・注意が必要な場面
使える場面
- 社長とCFOの関係が噛み合っていないと感じるとき
- 数字の話になると感情的な衝突が起きるとき
- CFOが「言いにくさ」を抱えているとき
注意が必要な場面
- そもそもCFOに意思決定権が与えられていない場合
- 社長が全権を手放す気がない場合
(心理の整理以前に、制度の問題になります)
自分で判断するために
社長とCFOの役割分担は、
正しい分け方を探す話ではありません。
- 判断の場で、誰が何を引き受けるのか
- 数字を、管理ではなく対話の道具として使えているか
- お互いの立場が生む感情を、前提として扱えているか
この3点を、
順番を守って整理できているかどうかがすべてです。
答えを急がず、
まずは「どこでズレているのか」を言葉にするところから、
判断を始めてください。