CFO(最高財務責任者)という言葉を聞くと、どんなイメージが思い浮かびますか?
「経理部門のトップ」「財務のプロ」「決算や資金繰りの責任者」──そんな印象を持たれる方が多いかもしれません。
しかし、時代と共にその役割は大きく変化しています。
特にスタートアップや上場準備企業において、CFOは「数字の番人」を超えた「経営のパートナー」として、意思決定の最前線に立つ存在となっています。
本記事では、実際にスタートアップでCFOを務めた経験から、現代のCFOに求められる本質的な役割と、そこに込められる覚悟について解説します。
【1. CFOは経理じゃない──数字の”読み手”から”語り手”へ】
従来のCFO像は「正確な会計」「財務リスクの管理」など、“守り”の仕事が中心でした。
しかし、今のCFOに求められるのは、数字をもとにした意思決定のナビゲートです。
たとえばこんな問いに向き合います:
- 今期、売上目標を1.5倍に設定する根拠は?
- 追加人材の採用は、利益にどう影響する?
- 新規事業に投資する余力は、本当にあるのか?
数字を「管理する」のではなく、数字に「意味づけをする」。
これが、現代のCFOの出発点です。
【2. CFOは社長と現場の“翻訳者”である】
経営者が描くビジョンと、現場が直面するリアルは、しばしば噛み合いません。
ここでCFOが果たすべき役割は、「ビジョン」と「現実」をつなぐ“翻訳者”としての存在です。
たとえば、
- 売上目標に対して「その達成に必要な販管費」を試算し、経営陣と現場双方に納得感のある形に落とし込む。
- 投資判断に対して「回収までの資金繰り」「収益化の見込み」を可視化し、意思決定を支える。
単なる財務データではなく、“会話”として数字を扱うことが、CFOの信頼に直結します。
【3. CFOに必要なのは「視座」と「対話力」】
スタートアップや急成長企業では、日々の意思決定のスピードが求められます。
だからこそ、CFOには次のような力が欠かせません。
- 視座:企業の3年後、5年後を見据えて今の判断を設計する視点
- 対話力:現場、経営者、取締役、監査法人といった多様な相手と信頼関係を築く力
CFOの仕事は、エクセルの中だけで完結しません。
“数字を通じて、人と組織を動かす”──これこそが、今の時代に求められるCFO像です。
【まとめ】
「CFOって何をする人?」
そう問われたとき、私はこう答えます。
“経営の決断を、数字で支える人。未来を言語化し、対話を通じて企業を前進させる人。”
数字の裏にある人の声、現場のリアル、未来への期待。
それらを“経営の言語”に翻訳できる人材が、これからのCFOに必要とされています。
あなたの会社にとって、CFOとはどんな存在でしょうか?
「CFOという仕事」の再定義から、経営のあり方を見つめ直してみませんか?
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